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狂い咲く花
第31章 三、丹一華 - 嫉妬の為の無実の犠牲
宝賀は美弥の腰に手を回し、膝裏にもう片方の手を回して軽々と持ち上げ、泰邦が敷いた布団に横たわらせる。

「とりあえず、外で待っていてください…泰邦のお楽しみはまた後で」

その言葉に泰邦は無言で部屋を出て行った。
出て行ったのを確認すると目線を美弥に向ける。

「抵抗はしないと約束するのなら、手の拘束を外しますがどうしますか?」

美弥は宝賀の優しい問いかけに素直に頷いたが、隙あらば逃げ出そうと心の中では思っていた。

「分かりました…。でも、抵抗したり暴れたりしたら容赦しませんから…もちろん、快楽からの動きでしたら大歓迎ですよ」

美弥の身体を少し横に向けて拘束を解いた。
自由になった手を擦りながら美弥は宝賀を見つめた。

「そろそろ始めましょうか…」

宝賀は、ゆっくりと顔を近づけて口づけをしようとする。


―――パシッ


美弥の手が上がり、宝賀の頬を叩いた。
叩かれた顔は横を向き、どんな表情をしているのか美弥には分からなかった。
しかし、叩かれて動かない宝賀を見て、今なら逃げられると判断をし腕の中から簡単に抜け出した。
これで逃げられると思った。
しかし、そう簡単には逃げられなかった。
布団の上から立ち上がろうとした瞬間に、宝賀に腕を捻られ、うつぶせに布団の上に押さえつけられた。

「抵抗しない約束でしたね…」

声の質が変わったことに美弥は気が付いた。
優しさのかけらさえ感じられないほど冷淡で冷たい声だった。

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