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第31章 三、丹一華　-　嫉妬の為の無実の犠牲

「この言葉遣いが…いけないようですね…」

捻っている手を離して、仰向けにする。
そこには声と同じく冷淡な表情をした宝賀がいた。
先ほどまで捻り上げていた手を首に運び、両手で軽く首を絞める。

「このまま力を入れたらどうなるだろうな…」

少しずつ力を込めて圧迫していく。
徐々に掛かる圧が恐怖心を煽る。
宝賀の目を見て本気だと分かった。
今更分かってもどうしようもないと迫りくる死に恐怖を覚えた。

「くっ…」

一段と指に力が入り、息ができなくなりはじめた。
条件反射で宝賀の手を外そうともがくどうにもならない。
もがけばもがくほど宝賀の手は強さを増していった。
思うように息が吸えず、酸素が身体に行き渡らず、このまま死ぬのかと頭の片隅で思った瞬間だった。
思いもよらない大量の酸素が身体に入り込み、激しくせき込んだ。
それでも無限に吸いこめる酸素を惜しみなく吸い込む。
身体に酸素が行きわたるまで宝賀は美弥を見守り続けた。
涙目になりながら必死で生に執着する美弥が美しかった。

「美弥…反抗しなければ優しく抱いてあげるといいましたよ…反抗すればそれ相当のおしおきが待っているだけです…いいですね」

優しくかける声と言葉の意味は反比例していた。
首を絞められた恐怖からか、美弥は何も言えずにいた。
もし逆らったら何をされるか分かないと何も言えなかった…