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狂い咲く花
第32章 三、風信子 – 悲哀
絶頂を迎えようとすれば、自然と葉月の指を締めていく。
一気にいかせようと、花芽も軽く扱きはじめた。

「アッ…それ駄目…それイッちゃう…」

麻耶は葉月の身体にしがみつきながら唇を奪う。
葉月に溺れるかのように激しく求め、押し寄せる快楽を素直に受け止めた。

「イッちゃう…葉月…イッちゃ…」

しがみついている手に力が入り、身体が跳ねた。
それを見届けた葉月は指の動きをやめ引き抜く。

「ヤンッ」

引き抜くだけでも麻耶の身体は反応しビクビクと身体が小刻みに震える。
荒い息をしている麻耶の背中を子供をあやすようにトントンと叩く。
それと同時に、前後に揺らしていくと麻耶は目を閉じて眠りに落ちていく。
葉月に乗る麻耶の重さが変わったのを確認してそっと床に倒し毛布を掛けて寝かせた。
寝顔を見れば、頬を赤らめ幸せそうな顔だった。
自分とは違う表情に戸惑い罪悪感だけが葉月の心を埋めていく。
逃げるように麻耶の傍を離れて外に逃げ出した。
扉を開けた途端にヒヤッとした冷気が葉月の身体を通り過ぎる。
着物一枚ではその寒さを凌ぐことはできなかった。
それでもそれが自分への罰かのように寒さに耐え一人の時間を過ごす。

「会いたい…美弥…」

天を仰ぎ、ボソリとつぶやく。
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