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狂い咲く花
第32章 三、風信子 – 悲哀
ここ10日程、葉月は美弥と会ってはいない。
少しでも麻耶から目を離すと何を仕出かすか分からない状態が続いていた。
仕事に行く時だけは辛うじてどうにかできたが、それ以外はどこに行くにしても葉月の傍を離れなかった。
少しでも麻耶の視界から消えれば、狂ったように葉月の名前を呼びながら泣き喚く。
『別れる』という言葉が、それほどまでに麻耶の心に傷を負わせたと知った葉月が麻耶を放っておくことなどできなかった。
朝でかけに口づけを交わし、麻耶の心を満たせば安心して夕方まで大人しく待つことはできていた。
しかしいつもより遅い時間になれば蘭子を家において何時間でも葉月を探し回り、裸足で探し回ったのか足の裏が血だらけになっていたことがあった。
それ以降、葉月は時間通りに麻耶の元に戻り、麻耶の心休まるように、麻耶の思うがままにさせていた。
それでも、葉月の心の中から美弥のことが消えることは一度たりともない。

「美弥の温もりがほしい…」

目を伏せ、ここにはいない美弥の温もりを思い出す。
思い出すだけで心は満たされ、幸せな瞬間が脳裏に浮かび上がる。

「葉月…葉月…どこ?いや…葉月―――」

そんな些細な幸せの時間を破ったのは、絶叫に似た麻耶の叫び声だった。
葉月が慌てて部屋の中に戻ろうと扉を開けた瞬間に、麻耶が外に飛び出してきた。
それを受け止めて力強く抱きしめる。

「大丈夫…俺はここにいるから」

背中を擦りながら小さな声で安心させるように何度も伝える。
麻耶は何も言わず、ただ葉月にしがみつき泣き続けた。
薄着の麻耶を心配して葉月は部屋の中かへ入り、一緒の布団に入り抱きしめたまま2人は眠りに落ちていった。
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