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狂い咲く花
第32章 三、風信子 – 悲哀
「痛っ…南和…痛い…」
考え事をしていると、濡れてもいない秘壷に南和の指が強引に入ってくる。
皮膚を引っ張りながら指が沈む。
そんな乱暴なことをしたことがない南和の動きに、本気で怒っていると分かった。
しかし、聞こえてきたのは怒っている声ではなく、寂しそうな声だった。
「麻耶…僕はいらない?葉月の心が麻耶に向いたら…僕はもういらないの?」
“いらない”という言葉に反応する。
数日前に同じ言葉を葉月に伝えられ、その時の想いを思い出した。
寂しくて苦しい心を思い出し、自分と重ね合わせ麻耶の心はギュッとした。
抱きしめられている手を解いて南和を見つめた。
抱きしめられている手を解かれて南和の顔は強張っていく。
何かを悟った南和は、一歩後ろに足を引いて麻耶から距離を取る。
麻耶の手が届くギリギリの距離で麻耶は慌てて南和の手を取った。
その手を無言で南和は外し、静かに首を左右に振る。
その行為が何を意味するか麻耶には分かった。
そして…
「いやっ」
南和に縋り付く。
先ほどまでとは立場が逆転する。
「どこにも行っちゃだめ…行かないで…」
泣きながら南和の腕に縋り付く。
その言葉に、南和は安堵して麻耶の頬に両手を添えて自分の方に向ける。
「麻耶が僕を裏切らないかぎり僕はどこにも行かないよ…麻耶を裏切らないのは僕だけ…いいね」
優しく教え込むように告げると、麻耶は素直に頷く。
本当に分かっているかどうか半信半疑だったが、それよりも麻耶が欲しくてたまらなかった
考え事をしていると、濡れてもいない秘壷に南和の指が強引に入ってくる。
皮膚を引っ張りながら指が沈む。
そんな乱暴なことをしたことがない南和の動きに、本気で怒っていると分かった。
しかし、聞こえてきたのは怒っている声ではなく、寂しそうな声だった。
「麻耶…僕はいらない?葉月の心が麻耶に向いたら…僕はもういらないの?」
“いらない”という言葉に反応する。
数日前に同じ言葉を葉月に伝えられ、その時の想いを思い出した。
寂しくて苦しい心を思い出し、自分と重ね合わせ麻耶の心はギュッとした。
抱きしめられている手を解いて南和を見つめた。
抱きしめられている手を解かれて南和の顔は強張っていく。
何かを悟った南和は、一歩後ろに足を引いて麻耶から距離を取る。
麻耶の手が届くギリギリの距離で麻耶は慌てて南和の手を取った。
その手を無言で南和は外し、静かに首を左右に振る。
その行為が何を意味するか麻耶には分かった。
そして…
「いやっ」
南和に縋り付く。
先ほどまでとは立場が逆転する。
「どこにも行っちゃだめ…行かないで…」
泣きながら南和の腕に縋り付く。
その言葉に、南和は安堵して麻耶の頬に両手を添えて自分の方に向ける。
「麻耶が僕を裏切らないかぎり僕はどこにも行かないよ…麻耶を裏切らないのは僕だけ…いいね」
優しく教え込むように告げると、麻耶は素直に頷く。
本当に分かっているかどうか半信半疑だったが、それよりも麻耶が欲しくてたまらなかった