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狂い咲く花
第33章 三、ヒマラヤ雪ノ下 - 秘めた感情

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「……弥……弥……美弥…起きて…」

夢も見ずに眠りに落ちていた美弥は母様の声で現実に引き戻さる。
モゾモゾと布団の中から顔を出せば、外の光は弱まり赤い光が差し込み始めていた。
そこで、自分が夕方まで寝ていたのだと気が付く。

「こんな時間に寝て…具合でも悪いの?」

母様が心配そうに髪を撫でながら優しく聞く。
美弥は目を閉じて力なく頭を横に振った。
心配をかけさせたくないと思っても、無理やり笑顔を作る気力さなくなっていた。

「そう…窓開けたまま寝たらだめよ…」

その意味が分からなかった。
こんな寒空の中、窓を開けた記憶などなかった。
しかし、いつも宝賀か帰った後の男性特有の匂いがないのに気が付き、宝賀が匂いを消すために開けて行ったのだろうかと思った。

「ごはん出来ているけど、食べられる?」

「…いらない…」

何もする気も、ましてや食べる気もない美弥はただ眠りたかった。

「また食べなくなったわね…何かあったの?」

「何も…ただ眠たいだけだから…。心配かけてごめんなさい。」

話すことさえ億劫に感じていた美弥だった。
強制的に話を終わらせるために目を閉じて母様を拒否する。
そんな美弥を見て、母様は黙って部屋を出て行った。
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