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狂い咲く花
第33章 三、ヒマラヤ雪ノ下 - 秘めた感情
「気がつかれなければいいいと思った?気がつかないと思った?」

「どういうこと?」

今にも泣き出しそうな美弥の口から出てくる言葉が怖いと思いながら聞くしかなかった。

「私が…私が助けを求めてるときに…」

その後の言葉がでてこなかった。
言葉にしたら現実を受け止めなければならなくなると分かっていた。
それでも、溢れる言葉を言わずにはいられない。

「あなたは、麻耶と口づけをしていた。私を好きだと、愛しているといいながら、あなたは麻耶と…」

美弥の言葉に、頬に添えてある指がピクリと反応し、頬に涙が流れ葉月の手を濡らす。
葉月は動くこともできず、知られていたことに困惑した。

「誤解しないで!」

「誤解??どこが誤解なの?」

感情をぶつけてくる美弥に驚きながら説明する。

「聞いて!あの日…俺はちゃんと麻耶に「別れよう」って伝えた。好きな人がいるから別れようって。そしたら、麻耶が包丁で自分自身を刺したんだ…突き刺さる包丁を見て、いつものようは狂言じゃないと思った。どうにしかして止めないきゃいけないって。麻耶の願いは俺と口づけをして愛していると言ってもらうことだったから…あの時は麻耶の言うとおりにしてやるしかなった。放ってはおけなかった。麻耶を死なせるわけにはいかないだろう?…だけど勘違いしないで。麻耶のことは妹としか思っていない。今でも愛しているのは美弥だけだ。」

葉月も思いのたけを美弥に伝える。
本当は誰が好きなのか。
誰を愛しているのかを。
しかし、美弥は葉月の言葉に力なく笑った。
何もかもあきらめているかのようだった。
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