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狂い咲く花
第33章 三、ヒマラヤ雪ノ下 - 秘めた感情
「前の時もそう…私より、身籠った麻耶を取った…そして今度は私より、死にたいと喚く麻耶を取る…私は葉月の何?何なの!!!」

初めて感情を葉月にぶつける。
全てを飲み込んできた想いが爆発する。

「放っておけないって何?守ってあげたいって何?私に心がないって思ってる?傷つかないって思ってる?葉月が麻耶と結婚するって、麻耶が身籠ったって知ったときの気持ち分かる?私がどんな思いで二人を許したか分かる?何も感じずに簡単に葉月を忘れたと思ってるの?」

矢継ぎ早に自分の想いを言葉に乗せる。
初めて感情を露にする姿をただ見つめるしかできずにいた。
葉月も…父親も母親も…
それだけ、美弥が感情的になることが今までなかった。

「諦めかけていた心を引き戻して、期待を持たせて…また麻耶が我儘言い出したら私を捨てるの?また簡単に切り捨てるの?…ねぇ葉月…なんで私を選んでくれないの?なんで全てを捨てて私を選んでくれないの?」

初めて美弥の本音を知る。
どこかで美弥なら許してくれると思っていた浅はかな自分がいたことに気がついた。

「ごめん…そんなつもりじゃなかった…」

「そんなつもりないって…だったらどんなつもり?…葉月に出会わなければよかった…好きにならなければよかった…」

葉月の全てを否定する。
その言葉に葉月の顔が歪み涙が流れるのが見える。
葉月の頬にも涙がつたう。
その涙が何なのか美弥には分からない。
懺悔の涙なのか、それとも別れゆく悲しみの涙なのか。
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