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狂い咲く花
第34章 三、エリカ - 孤独
「入って戸を閉めろ」
美弥は慌てて中に入って扉を閉めたが、これからどうしていいのか分からず戸口に立ったままだった。
「お前…飯食ったか」
火が着いたところで美弥に視線を移した。
美弥は黙って首を横に振った。
それを見た宝賀は、美弥の横をすり抜けて外に出ると、ガサガサと音をさせ手に何かを持って部屋の中に戻ってくる。
鍋に水を入れて、持ってきたものを小さな包丁で裂きながら何種類かの食材を入れて火にかける。
少し時間がたつと、グツグツグツと沸騰して食材が煮え始めるのが分かり、それと同時に良い匂いが部屋中に充満する。
食欲がなく、物を受け付けなくなっていた美弥でさえ食べてみたいと思う匂いだった。
宝賀は味見をしてからお椀に取り分けて、囲炉裏の一角に置く。
「冷める前に食べろ」
自分の分をよそいながら美弥に進めた。
美弥は匂いに釣られるように足を進め、お椀が置かれた場所に座って一口飲んでみた。
「おいしい…」
正直な感想だった。
身体の芯から温まり、優しい味付けだった。
箸を取り中の具材を口にする。
受け付けないと思っていた固形物も、ゆっくり噛んで飲み込めば受け付けていた。
何日ぶりの食べ物だろうかと考えながら食べていたら直ぐになくなってしまった。
美弥は慌てて中に入って扉を閉めたが、これからどうしていいのか分からず戸口に立ったままだった。
「お前…飯食ったか」
火が着いたところで美弥に視線を移した。
美弥は黙って首を横に振った。
それを見た宝賀は、美弥の横をすり抜けて外に出ると、ガサガサと音をさせ手に何かを持って部屋の中に戻ってくる。
鍋に水を入れて、持ってきたものを小さな包丁で裂きながら何種類かの食材を入れて火にかける。
少し時間がたつと、グツグツグツと沸騰して食材が煮え始めるのが分かり、それと同時に良い匂いが部屋中に充満する。
食欲がなく、物を受け付けなくなっていた美弥でさえ食べてみたいと思う匂いだった。
宝賀は味見をしてからお椀に取り分けて、囲炉裏の一角に置く。
「冷める前に食べろ」
自分の分をよそいながら美弥に進めた。
美弥は匂いに釣られるように足を進め、お椀が置かれた場所に座って一口飲んでみた。
「おいしい…」
正直な感想だった。
身体の芯から温まり、優しい味付けだった。
箸を取り中の具材を口にする。
受け付けないと思っていた固形物も、ゆっくり噛んで飲み込めば受け付けていた。
何日ぶりの食べ物だろうかと考えながら食べていたら直ぐになくなってしまった。