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狂い咲く花
第35章 三、桔梗 - 深い愛
「ああ…分かった。美弥が見つかったらそうすればいい。次こそは何があっても美弥の手を取ってやれ。お前が守ってやれ」
父様の大きな手が、優しく頭を撫でる。
「麻耶のことは俺たちが何とかする…だから、お前は美弥を幸せにしてやれ」
最後の言葉に葉月は嗚咽を漏らしながら父様の腕の中で泣き続けた。
─…
──…
───…
「葉月ちゃんは?」
扉越しに母様が顔を覗かせた。
「一晩中駆け回ってたんだ…そっとしておいてやろう」
子供のように泣きつかれて眠った葉月を寝かしつけて、2人はその部屋を後にした。
外に出れば太陽も昇り、一睡もしていない父様にはまぶしかった。
まぶしさを感じながら玄関に向かう。
「あなたも横になりますか?」
心配して後ろから声を掛ける。
振り向きもしない背中が震えているようにみえた。
「あなた?」
何も言わずに、部屋に上がろうとする父様にもう一度声を掛けると、振り向いて母様を抱きしめた。
「少し…このままでいさせてくれ」
抱きしめる腕も震えていた。
ずっと我慢していたのだろうと母様は思った。
「頑張りましたね。私はあなたの事を誇りに思いますよ。」
今度は母様が大きな愛情で父様を包み込む。
「…誰かを守ろうとすると誰かが傷つく…麻耶が傷つくと分かっていて、葉月に美弥を託してしまった…俺は父親なのに…」
母様は何も言わずに、背中を擦りながら、じっと話を聞く
父様の大きな手が、優しく頭を撫でる。
「麻耶のことは俺たちが何とかする…だから、お前は美弥を幸せにしてやれ」
最後の言葉に葉月は嗚咽を漏らしながら父様の腕の中で泣き続けた。
─…
──…
───…
「葉月ちゃんは?」
扉越しに母様が顔を覗かせた。
「一晩中駆け回ってたんだ…そっとしておいてやろう」
子供のように泣きつかれて眠った葉月を寝かしつけて、2人はその部屋を後にした。
外に出れば太陽も昇り、一睡もしていない父様にはまぶしかった。
まぶしさを感じながら玄関に向かう。
「あなたも横になりますか?」
心配して後ろから声を掛ける。
振り向きもしない背中が震えているようにみえた。
「あなた?」
何も言わずに、部屋に上がろうとする父様にもう一度声を掛けると、振り向いて母様を抱きしめた。
「少し…このままでいさせてくれ」
抱きしめる腕も震えていた。
ずっと我慢していたのだろうと母様は思った。
「頑張りましたね。私はあなたの事を誇りに思いますよ。」
今度は母様が大きな愛情で父様を包み込む。
「…誰かを守ろうとすると誰かが傷つく…麻耶が傷つくと分かっていて、葉月に美弥を託してしまった…俺は父親なのに…」
母様は何も言わずに、背中を擦りながら、じっと話を聞く