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狂い咲く花
第35章 三、桔梗 - 深い愛
「葉月を殴りたかったよ…父親として許せなかった。だけど…ここ数年のあいつを見てるから、立派に夫と父親をやっている葉月を見てきたから。それに、その奥に隠れた思いを考えると殴れなかった…。どんなことがあっても変わることのない美弥への愛情が俺はうれしかった…父親失格だ」
いつも気丈な父様が涙を流す。
彼が落ち着くまで母様は何も言わずにただ子供をあやすように背中を擦り続けた。
いつでも、家族を大きな愛で包み込むのは母様だった。
余り口出しせず、静観する中で最後に大きな愛情で全てを包み込む。
「…私もあなたも…葉月も、美弥の優しい心に甘えていたのかもしれませんね。麻耶が身籠ったとき、自分から引くことは分かっていた。美弥を心配するふりをして、引いてくれたことに安堵していた。そんな所があったのかもしれません。あなたが父親失格なら私も母親失格です。全てを丸くおさめるために美弥を犠牲にした…その報いなんでしょう」
母様が父様の腕の中から抜けて、手を頬に添えて、しっかりとした目で見つめる
そこには母様特有の強い眼差しがあった。
強くて優しい何もかもを抱擁する綺麗な目だった。
「今からでも遅くないと思います。美弥が幸せになれるように親として出来る事をしてあげましょう。もちろん、麻耶にも。どちらが傷つくならそれもしょうがないことです。人と人が交われば多少なりとも傷つきます。その時に私たちがどう受け止めるか。…あの子たちの、本当の関係に戻してあげましょう。そのことで麻耶が傷つくなら全力で麻耶を守ってやればいい。あの子には私たち、それに蘭子もついています。きっと大丈夫。」
にっこりと笑って大丈夫だと告げると、父様の顔にも笑顔が戻る。
「俺も覚悟を決める…俺についてきてくれるか?あいつらが幸せになれるように…子供たちが傷つく姿はつらいだろうが…俺についてきてほしい」
父様の目にも迷いはなかった。
美弥の心を知り、葉月の心を知った2人は、自分たちの覚悟をも決めた。
しかし、麻耶の本当の心など知る由もない。
彼女が何に執着し何を思っているかなど、誰も知らなかった。
まだ幼さの残る麻耶の真実の姿など南和以外知る由もない。
その南和も麻耶の本当の心を知っているかも疑問である。
いつも気丈な父様が涙を流す。
彼が落ち着くまで母様は何も言わずにただ子供をあやすように背中を擦り続けた。
いつでも、家族を大きな愛で包み込むのは母様だった。
余り口出しせず、静観する中で最後に大きな愛情で全てを包み込む。
「…私もあなたも…葉月も、美弥の優しい心に甘えていたのかもしれませんね。麻耶が身籠ったとき、自分から引くことは分かっていた。美弥を心配するふりをして、引いてくれたことに安堵していた。そんな所があったのかもしれません。あなたが父親失格なら私も母親失格です。全てを丸くおさめるために美弥を犠牲にした…その報いなんでしょう」
母様が父様の腕の中から抜けて、手を頬に添えて、しっかりとした目で見つめる
そこには母様特有の強い眼差しがあった。
強くて優しい何もかもを抱擁する綺麗な目だった。
「今からでも遅くないと思います。美弥が幸せになれるように親として出来る事をしてあげましょう。もちろん、麻耶にも。どちらが傷つくならそれもしょうがないことです。人と人が交われば多少なりとも傷つきます。その時に私たちがどう受け止めるか。…あの子たちの、本当の関係に戻してあげましょう。そのことで麻耶が傷つくなら全力で麻耶を守ってやればいい。あの子には私たち、それに蘭子もついています。きっと大丈夫。」
にっこりと笑って大丈夫だと告げると、父様の顔にも笑顔が戻る。
「俺も覚悟を決める…俺についてきてくれるか?あいつらが幸せになれるように…子供たちが傷つく姿はつらいだろうが…俺についてきてほしい」
父様の目にも迷いはなかった。
美弥の心を知り、葉月の心を知った2人は、自分たちの覚悟をも決めた。
しかし、麻耶の本当の心など知る由もない。
彼女が何に執着し何を思っているかなど、誰も知らなかった。
まだ幼さの残る麻耶の真実の姿など南和以外知る由もない。
その南和も麻耶の本当の心を知っているかも疑問である。