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狂い咲く花
第35章 三、桔梗 - 深い愛
───…
2月も半ばを過ぎると日中は暖かくなる。
美弥が宝賀に捉えられ2ヶ月が過ぎようとしていた。
日が当たるところに腰を下ろした美弥は何をするでもなく空を見つめる。
その美弥の手に結ばれる縄はなく、そこに宝賀の姿もない。
ただ自由にそこに美弥はいた。
着崩した着物姿が毎日の情事を物語る。
美しかった黒髪も手入れがされていないのか、艶が無くなりもつれいてる。
それを正す気力など今の美弥にはない。
夜は宝賀に抱かれ、日中は一人残されすることもなく時間を持て余す。
一人にされてもこの場所からでることはない。
行き場所を失った美弥には、ここで生きていくしかなかった。
住めば都とは良く言ったものだと美弥は思った。
抱かれることに慣れれば、この生活も苦ではない。
何もしなくとも宝賀が食べ物を準備し、寒くなれば宝賀が部屋を暖めてくれた。
時折焚かれるお香の匂いに心休まり、毎日のように焚いてもらうようになっていた。
その中で抱かれれば、自然と抱かれることを受け入れていた。
時には自分から欲し淫らに乱れることも増えていく。
自然と宝賀の傍にいることが当たり前になり受け入れていた。
それでも、全てを容認しているわけではない。
どこか、後ろめたさと罪悪感が残り、美弥の心は晴れることはなかった