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狂い咲く花
第35章 三、桔梗 - 深い愛
「今日は外か…」
外から戻った宝賀は美弥をみつけ、横に座り込む。
朝方にはどこかに消え昼過ぎから夕方にかけて宝賀は戻ってくる。
その間、どこに行っているのか美弥は知らない。
「天気よかったから」
必要最小限の言葉を話す。
宝賀は「そうか」とだけ呟くと、美弥が投げ出している足の上に頭を乗せて寝転んだ。
空を見上げれば雲一つない空が広がっていた。
「帰りたいか?」
宝賀の言葉に美弥は寂しそうな顔をして静かに首を振る。
その顔に手を伸ばしそっと触れた。
「葉月の事はもういいのか?」
その問いには答えない。
いや…答えられなかった。
愛する人を忘れられるはずもなく、だからと言ってこの場所を出て会いにいくこともできなかった。
「お前も…もう少し我儘に生きられたら…もっと楽に生きられたかもしれないな」
暫く2人は何も喋らず空を見続ける。
陽が陰り始めると肌寒くなり、薄着の美弥を気遣って家の中に入るように促す。
何も言わずにただ美弥は従った。
「今日は牛肉を手に入れてきた…きちんと食べて精をつけろ」
手にしていた食材で器用に食事を作る。
甘く煮込んでいるのか、甘い良い匂いがたちこめる。
その中に、焚き上がっているご飯を入れて、美弥が食べやすい汁物にした。
それを出されれば、美弥は黙って口に運ぶ。
ゆっくりと、だけど確実に喉を通るのを確認してから宝賀も自分の分を口に運んだ。
日に日に食事をしなくなる美弥への気遣いでもあった。
媚薬香のせいなのか精神的な物なのか分からないが、食事の量が極端に減っていた。
外から戻った宝賀は美弥をみつけ、横に座り込む。
朝方にはどこかに消え昼過ぎから夕方にかけて宝賀は戻ってくる。
その間、どこに行っているのか美弥は知らない。
「天気よかったから」
必要最小限の言葉を話す。
宝賀は「そうか」とだけ呟くと、美弥が投げ出している足の上に頭を乗せて寝転んだ。
空を見上げれば雲一つない空が広がっていた。
「帰りたいか?」
宝賀の言葉に美弥は寂しそうな顔をして静かに首を振る。
その顔に手を伸ばしそっと触れた。
「葉月の事はもういいのか?」
その問いには答えない。
いや…答えられなかった。
愛する人を忘れられるはずもなく、だからと言ってこの場所を出て会いにいくこともできなかった。
「お前も…もう少し我儘に生きられたら…もっと楽に生きられたかもしれないな」
暫く2人は何も喋らず空を見続ける。
陽が陰り始めると肌寒くなり、薄着の美弥を気遣って家の中に入るように促す。
何も言わずにただ美弥は従った。
「今日は牛肉を手に入れてきた…きちんと食べて精をつけろ」
手にしていた食材で器用に食事を作る。
甘く煮込んでいるのか、甘い良い匂いがたちこめる。
その中に、焚き上がっているご飯を入れて、美弥が食べやすい汁物にした。
それを出されれば、美弥は黙って口に運ぶ。
ゆっくりと、だけど確実に喉を通るのを確認してから宝賀も自分の分を口に運んだ。
日に日に食事をしなくなる美弥への気遣いでもあった。
媚薬香のせいなのか精神的な物なのか分からないが、食事の量が極端に減っていた。