この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂い咲く花
第36章 三、吾亦紅 – 変化
「麻耶…母様よ。入るわね」
母様が一声かけて襖を開けても、麻耶は振り向くこともせずにただ外を眺めていた。
横では蘭子がおはじきで一人遊びをしている。
南和はただ外を見つめる麻耶を見て動く事ができなかった。
「麻耶。南和ちゃんが来てくれたわよ」
母様は麻耶の傍に行き、声をかけた。
その声に反応し母様を見、母様の目線の先を追い、そこに立っている南和を目が捉えた。
その瞬間、両手が南和に向く。
抱きしめて欲しいと両手を伸ばしているのが手の取るように分かった南和は、麻耶に駆け寄り抱きしめた。
麻耶はギュッと南和にしがみつき泣き始める。
「どうしたの?…」
優しく声をかけながら背中を擦ると、嗚咽を上げながら必死に言葉にする。
「姉…姉様がいないの…帰ってこないの…麻耶が…悪い子だから…麻耶を嫌いに…なったから」
その言葉に南和はドキリとした。
母様のいる今、それ以上の事を口にされるのはまずかった。
「美弥は麻耶の事を嫌いになったりしないよ。今までだってそうでしょう?美弥は麻耶に優しかったでしょう?…少し外に出ようか…散歩しよう」
無理やり立たせて連れ出そうとする。
「おばさん。麻耶と散歩してきますね」
まだ座り込んでいる母様に告げて、麻耶の腰に手を添えて玄関に向かった。
外に行きたがらない麻耶に耳元で囁く。
「外で良いことしよう?」
いつもなら、目を輝かせるのに今日はそんな様子をみせなかった。
母様が一声かけて襖を開けても、麻耶は振り向くこともせずにただ外を眺めていた。
横では蘭子がおはじきで一人遊びをしている。
南和はただ外を見つめる麻耶を見て動く事ができなかった。
「麻耶。南和ちゃんが来てくれたわよ」
母様は麻耶の傍に行き、声をかけた。
その声に反応し母様を見、母様の目線の先を追い、そこに立っている南和を目が捉えた。
その瞬間、両手が南和に向く。
抱きしめて欲しいと両手を伸ばしているのが手の取るように分かった南和は、麻耶に駆け寄り抱きしめた。
麻耶はギュッと南和にしがみつき泣き始める。
「どうしたの?…」
優しく声をかけながら背中を擦ると、嗚咽を上げながら必死に言葉にする。
「姉…姉様がいないの…帰ってこないの…麻耶が…悪い子だから…麻耶を嫌いに…なったから」
その言葉に南和はドキリとした。
母様のいる今、それ以上の事を口にされるのはまずかった。
「美弥は麻耶の事を嫌いになったりしないよ。今までだってそうでしょう?美弥は麻耶に優しかったでしょう?…少し外に出ようか…散歩しよう」
無理やり立たせて連れ出そうとする。
「おばさん。麻耶と散歩してきますね」
まだ座り込んでいる母様に告げて、麻耶の腰に手を添えて玄関に向かった。
外に行きたがらない麻耶に耳元で囁く。
「外で良いことしよう?」
いつもなら、目を輝かせるのに今日はそんな様子をみせなかった。