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狂い咲く花
第36章 三、吾亦紅 – 変化
「それが麻耶を傷つけることだって分かっている。分かっていても嘘はつきたくないんだ。自分の気持ちに嘘をついた分だけ、麻耶と美弥を傷つけてきたって分かったから…麻耶な。別れ話しようとした時に死のうとしたんだ…」

「知ってる…お乳飲ませるときにたまたま目に入って、どうしたのか聞いた…」

南和は嘘を交えて静かに告げた。
そこに何の感情もなかった。

「そっか…。妹みたいに大事だから傍にいたけど、やっぱりそれじゃ駄目なんだって思ったんだ。麻耶が望むものは一生与えることができない。俺が一緒にいたいのは、愛情を注ぎたいのは美弥だって分かったから。そんな気持ちで、麻耶の傍にはいられない」

「いいんじゃない?今までがおかしかったんだよ。愛情もないのに夫婦ごっこしてさ。バッカみたい」

悩みに悩んで出した結論をいともあっさりと切り捨てる南和に葉月は苦笑した。
その笑いが南和の神経を逆なでする。
麻耶の人生を滅茶苦茶にした葉月が憎らしかった。

「今更だよね。2人をどれだけ傷つけたと思っているの?その前に美弥が帰ってくるって思っている?家を飛び出したのは美弥の意志だよね?だったら帰ってこないんじゃないの?」

わざと傷つける言葉を投げつけた。
数日後に戻ってくると分かっていても麻耶が傷ついた分、傷つけたくなる。

「美弥が帰ってこなくても麻耶とは別れてよね。美弥の代わりに麻耶を縛らないでよね」
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