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狂い咲く花
第36章 三、吾亦紅 – 変化
葉月の顔が歪み、今にも泣き出してしまいそうな表情が南和の目に入る。

「なんで葉月が苦しそうな顔するのさ。苦しかったのは麻耶だよ?美弥だよ?葉月にそんな顔する資格なんてない。」

「っご…ごめん」

葉月は何も言えなった。
南和の言うことが全て正しいと反論することが出来ずにいた。

「僕に謝ってもね…。…いいよ。麻耶に何かあったら僕がどうにかするよ。麻耶に非はないんだから。けどいい?二度と愛だの口づけなんてしないで。麻耶を思うなら泣こうが喚こうが突き放して。…あとは僕がなんとかするから」

それだけ言葉を吐き捨てると、南和は自分の家に向かった。
葉月が麻耶と別れる決心をしてくれたのはうれしかったが、これから先の麻耶の心中を考えると手放しには喜べなった。
葉月と美弥の仲睦まじい姿を見て耐えられるのかと心配になっていた。




──…





数日して、南和は仕事の振りをして宝賀のいる街へ行った。
家を覗いても宝賀が家にいる気配はない。
そこで思いつくのは一つしかないと、誰も入り込まない森の奥深くへと足を進めた。
夕方でも薄暗く、何度来ても薄気味悪い場所だった。
だから、街の者は来ず、かっこうのたまり場でもある。
小屋に近づくと微かな声が南和の耳に届く。
そのまま足を進めるとその音が何なのか分かる。
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