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狂い咲く花
第37章 三、ハハミズキ - 私の想いを受けて下さい。
美弥が少し体制を変えて、葉月の首筋に頭を預けて擦り寄る。

「ねぇ…葉月…。今の私は…葉月に愛される資格なんてないの。こんな風に抱きしめてもらえる資格もない。他の人に何度も抱かれて穢れてしまった…媚薬香のせいだと分かっていても自分から求めた時もあった…いつでもあの場所から逃げ出すことはできたのに…しなかった…いえ、できなかった…」

話すのも億劫なのか何度も大きく呼吸をしながら話を続ける。

「あなたのいない私の人生を考えると生きているのもつらかった…だから、誰でもいいから縋りたかった。それが私を犯した人でも…」

犯したという言葉に葉月の身体が強張ったのが美弥には痛い程伝わる。
その心が、流れる涙と一緒に泣いているのも分かる。

「…最初から…生まれた時から、あの家に私の居場所なんてない…ずっと私は2番目…母様も父様も1番は麻耶。葉月も最後に手に取るのはいつだって麻耶…私を必要としている人なんていないの…」

「違うから…それは違う」

美弥の言葉に葉月は声を荒げる。
初めて美弥の心の奥深くに沈む悲しみを知った。
そんな風に思っていたなんて葉月は気が付きもしなかった。

「違わない…これはきっと罰なの…。麻耶の面倒をみていたのも、父様や母様に褒めて欲しかったから。麻耶より愛されたかったから…。だけど、そんな想いを持っている私なんて愛されるはずなんてない…。生まれてこなければよかったって何度も思った。葉月も…こんな私は嫌でしょう??もう私の事は良いから麻耶と幸せになて?」

葉月の胸に添える手が震えていた。
それに気が付いた葉月は、美弥の言葉が本心でない事ぐらい想像がついた。
いつでも人の事を考える美弥。
こんな時でさえ、最後は相手を思いやる。
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