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狂い咲く花
第37章 三、ハハミズキ - 私の想いを受けて下さい。
自分が幸せになっていいのだろうかと思う反面、その葉月の手を取りたいと強く願う。
いつも自分から振りほどいていた手を、今は取りたいと…
だけど、素直にその手を取ることはできない。

「…もう…期待して…裏切られるのは…いや…。この手を取れば幸せになれるのかもしれない…けど…また、あなたは私の前から消えてしまう…麻耶は私から全てを…奪っていく…」

美弥は葉月の胸に両手を当てて、離れようとした。
しかし、力が弱っている美弥が葉月の腕の中から逃げ出すことなどできない。
それどころか、腕を取られ力強く抱きしめられる。

「ごめん…そう思わせてしまったのは俺だ。美弥の妹だと思うと麻耶のことは無下にはできなかった。だけど、俺にとって美弥がどれだけ大事で大切か分かった今、優先順位は美弥だ。麻耶じゃない。だから、もう一度、信じて…」

葉月の心は美弥に伝わる。
伝わるが、その手を素直に取ることはまだできなかった。

「何を信じればいい??どう信じればいいの?」

葉月を信じられる何かが欲しい、信じさせて欲しいと願う。

「…それは…」

言い淀みながら、美弥の身体が離れて、そっと唇を重ねた。
その瞳には大粒な涙が零れる。
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