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狂い咲く花
第37章 三、ハハミズキ - 私の想いを受けて下さい。
「俺には何もない。空っぽだ…これが俺への罰なんだと思った…。美弥を苦しめた罰なんだと。もしかしたらもう二度と帰って来ないかもしれない。もしかした命を絶っているかもしれないと…思うだけで苦しかった。狂いそうだった。もし、もう一度、この手に美弥を抱けるなら全て捨てていい。美弥があの家に戻りたくないなら全て捨てて新しい場所で2人で生きていいとさえ思えた。それだけ俺にとって美弥は大事なんだ…」

葉月は涙を拭うことなく告げた。
この4か月がどんなに辛かったのかを。

「俺には、想いを口にして伝える事しかできない…それでも信じられないなら…どうすればいい?どうしたら信じてくれる??俺の命で証明できるなら証明したい…けど、もう離れるのは嫌だ…」

葉月の想いは伝わる。

「こっ…怖いの…信じたいと思う…信じたいと思うけど…」

「信じて…これしか言えないけど…信じて欲しい。お風呂から上がったら、父さん母さん…それに和尚にも結婚したいって話す。帰ったら麻耶にもちゃんと話す。だから最後に…もう一度信じて」

葉月の目は真剣だった。
もう二度と、自分の手の内から離れないように、必死で引きとめる。
これを逃せば、二度と手に入れられない予感がしていた。

「美弥!俺を信じて」

「もし…また、裏切ったら??」

「裏切らない。裏切ることなんてないから。美弥が俺を嫌いになっても手放さない。何が何でも手放すものか」

その目の中に先ほどまでの弱々しい光はなかった。
強い意志を持った光を感じた。
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