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狂い咲く花
第38章 三、緋衣草 - 家族愛
誰もが反対することはなく2人の結婚を喜び祝福する。
これから先の麻耶の言動に不安を覚えるも、今は許されたことの方がうれしかった。

「よろしいでしょうか?」

話が一段落したところで、障子の向こうから鉄斎の声が聞こえた。
話が済むまで鉄斎は待っていた。

「なんだ?」

「葉月さんに頼まれたものを持ってまいりました」

鉄斎の言葉に和尚が葉月に目を向けた。
葉月はあわてて障子を開け、鉄斎に頼んでいたものを受け取る。

「鉄斎さん。ありがとうございます。」

それを受け取ると、美弥の身体にそっと掛けた。

「美弥。少し横になろう?父さんか母さんに膝枕してもらってさ」

優しく告げる。
3人に囲まれ自分が中心にいると思うと美弥の心は和らぐ。
ずっと望んでいたものがあるのだと両親の愛を感じた。

「そうね。美弥はどっちがいいかしら?母様?父様?」

母様がフフフッと笑ってどちらがいいか聞く。
しかし、その答えは考えるまでもなく決まっていた。

「母様が…良い…」

「やっぱりか…」

父様が誰が見ても分かるくらい落胆する。
その様子が可笑しくて母様も葉月も和尚も鉄斎も笑った。
美弥も少し申し訳なさそうな顔をして笑っていた。
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