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狂い咲く花
第38章 三、緋衣草 - 家族愛
母様は美弥の背中に手を添えて自分の膝の上に寝かせた。
美弥は母様の身体に両手を巻き付けて甘える。
布団をかけて背中をポンポンとあやす様に叩くと、疲れからなのかあっという間に眠った。

「辛かった…だろうな…」

安心しきっている表情を見て父様はボソリと呟いた。
痩せこけ憔悴しきっている美弥の姿を見て、どんな酷い目にあっていたかと思うと悔しくて犯人が憎かった。

「葉月…和尚と話したんだが。このまま2人でここに住まないか?麻耶はまだお前を諦めてない。そんな麻耶と一緒に住むわけにもいかんだろう…逆に麻耶をここに置いたとしても戻ってくるだろうし。ここなら和尚や鉄斎、他の僧侶もいる。どうだ?」

美弥と葉月が風呂に入っている間に3人は話し合っていた。
何が一番いいのかを。
今は美弥の事を一番にと話が纏まっていた。

「ありがとうございます。…けど、美弥を連れて帰ってあげてください。あの家に迎え入れてください。」

「さっきも言ったぞ?麻耶がいるんだ。無理だろう?それに結婚したいとはっきり言ったんだ。」

父様の意見も当然だと葉月は思う。
それが本来一番いいのだと。
だけど、美弥の心はまだ癒されていない。
自分より先に両親の愛を注いで欲しいと葉月は願う。

「俺は蘭子を連れて実家に帰ろうと思っています。だから家族4人、昔みたいに過ごしてほしいんです。」

一歩も引かない葉月に和尚が何かに気が付いた。

「葉月。理由は?何かあったんだろう?」
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