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狂い咲く花
第39章 四、雛菊 - 平和
嫌がる美弥を母様は無理やり抱きしめた。
その腕から逃げようともがくが母様は手を緩めることをしない。
体力もない美弥が力をなくするのに時間はかからなかった。

『もう…一緒に…寝るのは嫌ですか?』

小さい声で美弥が声をあげた。
母様の腕に力がこもる。

『馬鹿なこと言わないで。嫌なわけないじゃないの。…今日はね。葉月ちゃんが来るって言うから寝る場所を変えただけよ』

美弥は母様の腕の中から顔を上げた。

『朝まで一緒にいなさい。麻耶がいるから昼間には会えないけど…せめて夜だけはね。葉月ちゃんが来ない日はまた一緒に寝るのよ。』

美弥の表情が柔らかく変化する。
まだ人の顔色をうかがいながら自分の存在意義を確立できずにいた。
長年思い続けた負の心は簡単には拭えなかった。
それでも時間をかけて、ゆっくりと愛情を注いでいく。
きちんと言葉と態度で示していけば美弥の心は満たされると信じて。

「そろそろ横になろうか?」

美弥の身体を気遣い葉月が声を掛けると美弥は頷いた。
葉月は美弥を横抱きにして布団の上に座らせた。
横になる前に軽く口づけを交わす。
美弥に性を感じさせないように、それ以上の事は何もしない。
美弥もそれ以上は望んでいないと思っていた。
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