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狂い咲く花
第39章 四、雛菊 - 平和
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「美弥…起きてる?」
襖の向こうから母様が声を掛ける。
その声で目を覚ましたのは葉月だった。
美弥が起きないように布団から出て、襖を開けた。
「おはようございます。」
「おはよう…よく寝られた?」
目を擦りながら眠そうにしている葉月に聞く。
「夜遅くまで起きていましたから…美弥はもう少し寝かせてあげていてください。」
布団の中でまだ寝ている美弥を見つめながら葉月は答える。
母様は安らいだ寝顔を見て安心する。
「葉月ちゃんと一緒だと、良い表情するわね。」
美弥に近づいて、そっと頬を撫でる。
その幸せそうな寝顔を見て、この表情がずっと続けば良いと願った。
「母さん…そろそろ麻耶に話したいと思います…引き延ばすのも麻耶には悪いと思うから」
母様の顔が険しくなる。
「そうね…いつまでもこのままというわけにもね…よく相談して決めましょう。」
「はい…」
先送りにしようとする母様の言葉に頷くしかない。
別れを告げた後の事を2人に任せる葉月は何も言えなかった。
「近いうちに、あの人を葉月ちゃんの家に向かわせるから相談して決めてちょうだい。あの人と葉月ちゃんが決めたことに私は従うだけだから」