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狂い咲く花
第39章 四、雛菊 - 平和





───…





夜も深まり辺りが静まり返っている中、父様は豊田家にいた。
急な来訪に嫌な顔をせずに家に招き入れる。
酒の用意をするように伝えると、父様はそれを制し酒抜きで話したいと告げた。
葉月にも席を外してもらい、2人だけとなった。

「話すのはいつぶりだろうな…」

「そうだな…謝りに行った日以来になるな…あの時は…」

葉月の父親が頭を下げようとするのを父様は止めた。
その話をしに来たのではないと謝罪を拒む。

「回りくどい言い方は好かん。単刀直入に言う。…葉月と美弥を一緒にしようと思っている」

父様の言葉に少なからず驚くが、それが分かっていたのか取り乱したりはしなかった。

「まだ、麻耶には何も伝えていない。伝えれば何も起こらないわけがない。知っての通り美弥は心を病んでる。それに追い打ちをかけることだけは避けたい。…美弥をここに住まわせてやってはくれないか?葉月と一緒に」

それが本来の目的。
麻耶に別れを告げる時、美弥を家に置いておくわけにはいかなかった。
麻耶の憎しみが美弥に直接向かうのを避けたかった。

「葉月が蘭子を連れて帰ってきた時から何かあるとは思ってたよ…あいつは何も話さない。言い訳もなにもしなかった。器用なのに不器用な性格をしてるよ。葉月は」

「お前に似たんだろう?」

「はっ…やめてくれ。俺はそんなに不器用じゃないさ。」

昔みたいに2人は軽口をたたく。
本来ならばこれが2人の姿だった。
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