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狂い咲く花
第40章 四、夾竹桃 - 注意
───…
真夜中に麻耶は厠に行きたくて目を覚ました。
いつも握り締めている手に美弥の温もりを感じない。
美弥も厠なんだろうと、一人で部屋を抜け出して厠に向かった。
廊下を歩いていると人の声が麻耶の耳に届く。
恐怖で足がすくみ立ちつくしていると、その声が美弥と葉月の物だと気がついた。
クスクスと幸せそうに笑う美弥の声が聞こえると、麻耶の心の中に何かが芽生え始める。
ゆっくりと足を進め、襖の隙間から覗いた。
美弥を抱きしめる葉月の姿が麻耶の目に飛び込んでくる。
そして話し声も…
『早く、一緒に住みたい…コソコソ会うんじゃなくて昼も夜もずっと美弥と過ごしたい』
『私もよ…』
『もう待てないって父さんに言うよ。そして麻耶に別れようって伝える』
『うん…ありがとう…』
見つめ合い幸せそうに笑って2人は口づけを交わす。
葉月の言葉が信じられなかった。
美弥の言葉が信じられなかった。
そして、葉月の好きな人が美弥だったと気がつき、美弥がまだ葉月の事を好きなんだと気がついた。