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狂い咲く花
第41章 四、勿忘草 - 私を忘れないで
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「ここ最近の麻耶の様子がおかしいの…私が見えないと泣きながら探すの。そして、どこにも行かないでって」
葉月に腕枕をしてもらいながら美弥は麻耶の事を話す。
話したところで葉月から答えが返ってくるわけでもない。
それでも、会えない時を共有する。
「美弥がこの家を出ていくことを肌で感じてるんじゃないか?」
それしか思い浮かばない。
「麻耶ってさ。美弥に対抗心みたいなのも持ってるけど、それ以上に美弥に依存してるって言うか、何よりも美弥が好きって前面に出してるよな」
幼いころの事を思い出しながら葉月は口にする。
「それにさ。いっつも美弥を怒らせてさ。でもそれは、どこまでだったら美弥が許してくれるのか計っていた部分もあったんじゃないかって思うよ」
「そう?全然わからない…」
「だってさ。美弥の言ったことを否定したり、言うこときかなくても美弥は怒らなかったよな。不機嫌な顔をしても叱ることはなかった。けど、一度だけ美弥が本当に怒ったときがあっただろう?俺が美弥に手紙を書いたのを麻耶が破いた時…覚えてない?」