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狂い咲く花
第41章 四、勿忘草 - 私を忘れないで
─…
──…
───…
「…耶……麻耶」
揺り動かされて麻耶は目覚めた。
寝起きの良くない麻耶はまだ寝ぼけて誰に起こされたのかも気が付いていない。
「クスクスッ…おはよう。麻耶」
「…おはよう…南和」
布団の中からゴソゴソと這い出て南和の腰に抱き付いた。
甘えるように顔をスリスリする。
「どうかしたの?」
いつも以上に甘える麻耶に違和感を覚える。
けれど、首を横に振るだけで何も話さなかった。
「母様と父様は?」
「仕事にでかけたよ。夕方には戻ってくるって…それまで遊ぼうか?美弥と3人でもいいし、2人でもいいよ。麻耶はどっちがいい?」
選択権を麻耶に渡す。
「南和と2人がいい…」
「分かった…でかける用意して。美弥に出かけるお手紙書くから」
麻耶を抱き起して出かける準備をさせ、美弥に手紙を書く。
それを枕元に置き麻耶と共に家を出た。
向かった先は、いつも2人で抱き合うあの場所だった。
木々の中に入れば手を繋ぎ、奥深くに行けば口づけを交わしながら進んだ。
小屋に辿り着く前にお互いが我慢できなくなり愛し合う。