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狂い咲く花
第42章 四、金木犀 - 真実
───…
「姉様、今日は麻耶のお家にいかない??たまには風を通さないといけないらしいの。お散歩しよう?」
麻耶が南和と会った次の日、麻耶は美弥を誘って外に出る。
陽が昇り、容赦なく夏の日差しが降り注中、たった10分程の道のりでさえ汗ばむ程だった。
家の中の窓を全部開けて夏の日差しを取りこむと風が入り込み心地よい。
「せっかくここまで来たから…湖まで歩かない?あそこは涼しいよ。きっと」
麻耶は、いつも南和と過ごす場所に誘う。
「遠くない…?」
「遠くないよー。きっと涼しいから姉様の身体も楽だよ?ねっ、行こう?」
自分の身体を気遣ってくれていると分かり美弥は頷いた。
2人は話をしながら、ゆっくりと歩いて湖まで足を向けた。
森に入ると日差しが届かず、ひんやりとする。
汗ばんでいた身体も程良い温度に変わる。
「来てよかったわね。涼しい」
「でしょう?姉様が一緒だし怖くない」
麻耶は美弥の腕にしがみつき、ニコニコと笑いかけ、その笑顔が美弥の警戒心を全て解く。
さらに奥に進むと湖が目の前に広がった。
昔と変わらないいまま、そこに存在していた。
「変わらない…わね」