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狂い咲く花
第42章 四、金木犀 - 真実
「麻耶…先に帰っててくれる?彼と…話があるから」

「姉様?」

後ろから、美弥の袖を引っ張り心配する。

「大丈夫だから…遅くなるかもしれないけど心配しないで良いから…お願いだから帰って…」

必死に説得する。
麻耶まで同じ目に合わせたくなかった。
あんな目にあうのは自分一人で十分だと美弥はすべてを諦める。

「…分かった…早く帰って来てね」

麻耶は何度も振り返りながらその場を離れた。
麻耶の姿が見えなくなり美弥はホッとする。

「自分が犠牲になろうなんて、相変わらず妹思いだね。姉様」

皮肉たっぷりに口にする泰邦を美弥は睨みつける。
しかし泰邦は動じない。
面白がるように美弥を追い詰める。

「ねぇ…そんな恰好してたらさ。俺じゃなくても襲いたくなるよ。相手が俺でよかったね。じゃないと、大切な麻耶ちゃんまで犯されるところだったよ」

泰邦の言葉で自分の姿がどうなっているのか初めて気が付いた。
水遊びをしていたせいで、着物は濡れ身体の曲線から何もかも透けて見えていた。

「いやっ…」

余りの恥ずかしさに咄嗟に両手で隠そうとする。
しかし、その手は泰邦によって阻まれる。

「良い眺めなんだからさぁ…隠すなよ」

力で捩じ上げられ、隠すことができなかった。
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