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狂い咲く花
第43章 四、瑠璃溝隠 - 悪意
麻耶の言っていることが理解できなかった。
穏やかな口調の中に見え隠れする麻耶の狂うような執着が誰に向けられているのか分からない。
ただ、美弥の身が危険なことだけは確かだと不安だけが大きくなる。

「探しに行きます」

一秒でも早く見つけたいと葉月は麻耶の手を払い除け、父様の制止も振り切って駆け出した。
父様は静かに麻耶と向き合う。
美弥の事も心配で探しに行きたいが、今の麻耶をそのままにしておくこともできなかった。
2人とも父様の娘に変わりはない。

「麻耶…。もう分かってるな…葉月が美弥を好きな事も…ずっと前から好きだったことも。麻耶に向けられるのが愛情じゃないことも分かってたな…。美弥に何をした?…麻耶は何がしたいんだ?」

静かに涙する麻耶に、今までと違う態度で接する。
一人の大人の女性として聞いた。

「今ならまだ間に合うんじゃないのか?本当に美弥が…姉様がいなくなってもいいのか?触れられなくても、話ができなくなってもいいのか?傍にいる意味を間違ってないか?お前は…誰が好きなんだ?大切なんだ?」

ここ最近、麻耶を見ていて思っていたことを口にする。
葉月に執着しながらも、美弥を追いかける麻耶の心を父様は気が付いていた。
美弥に嫉妬しているのではなく葉月に嫉妬しているのではないかと。
麻耶が本当に愛しているのは葉月ではなく…
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