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狂い咲く花
第43章 四、瑠璃溝隠 - 悪意
その行為がなにを意味するのか分かっている麻耶は動こうとしなかった。
ただ笑って南和を見つめた。

「これで、僕と麻耶はずっと一緒にいられるね…初めからこうすればよかった…」

「いいよ…南和。一緒に地獄に堕ちるって約束したもんね…いいよ。どこまでも南和に着いて行く」

南和をここまで追い込んだのは自分だと初めて知った。
麻耶が美弥を思う気持ちと同じように、南和も麻耶を思い狂ったのだと初めて気が付いた。
気が付いて、麻耶は南和が望むのならばと死を覚悟する。

「僕は…ずっと麻耶を愛してたよ。麻耶が葉月と結婚するずっと前から、麻耶だけしか見ていない…だから…麻耶も僕だけを見て…」

涙を流しながら南和が手に力を入れる。

「よせ!!馬鹿なことはするな」

葉月は美弥を抱きしめたまま声を荒げた。
麻耶の死など誰も望まない。
増してや、南和自身望んでいないことも分かっていた。

「南和」

どんなに叫んでも葉月の言葉が南和に届くことはない。

「「南和」」

葉月の声と父様の声が重なる。
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