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狂い咲く花
第44章 四、海蘭擬 - 偽りのない心
あれから3か月ほど時は過ぎていた。
あの暑い夏の夜。
誰もが忘れられない一夜となった。
寺に運ばれた美弥が目覚めたのはその夜から3日を過ぎた後だった。
目を覚まし誰もが安堵するが、その目が物を見ることはない。
ただそこに身体だけが存在し心を閉ざし全てを見聞きすることを拒絶した。
いつ自我を取り戻すのか誰にも分らない。
死ぬまでこのままかもしれない。
あるいは、明日にはいつもの美弥の笑顔が見られるかもしれない。
それは誰にも分らない。
仏のみぞ知ると和尚は口にした。
それでも生きていてくれさえすれば未来は開かれると、信じることしかできなかった。
葉月は父様との仕事をやめ美弥の傍で生きることを決めた。
それを誰も咎めることはない。
それならばと、寺の横にある小さな建物を提供する。
一間だけの小さな部屋だったが、2人ならば問題のない広さだった。
食事は僧侶と同じ時間に同じものを食べ、寝起きも同じで規則正しい生活を送る。
あの暑い夏の夜。
誰もが忘れられない一夜となった。
寺に運ばれた美弥が目覚めたのはその夜から3日を過ぎた後だった。
目を覚まし誰もが安堵するが、その目が物を見ることはない。
ただそこに身体だけが存在し心を閉ざし全てを見聞きすることを拒絶した。
いつ自我を取り戻すのか誰にも分らない。
死ぬまでこのままかもしれない。
あるいは、明日にはいつもの美弥の笑顔が見られるかもしれない。
それは誰にも分らない。
仏のみぞ知ると和尚は口にした。
それでも生きていてくれさえすれば未来は開かれると、信じることしかできなかった。
葉月は父様との仕事をやめ美弥の傍で生きることを決めた。
それを誰も咎めることはない。
それならばと、寺の横にある小さな建物を提供する。
一間だけの小さな部屋だったが、2人ならば問題のない広さだった。
食事は僧侶と同じ時間に同じものを食べ、寝起きも同じで規則正しい生活を送る。