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狂い咲く花
第44章 四、海蘭擬 - 偽りのない心
「美弥は眠ったのか」
父様が仕事帰りに美弥の様子を見にやってくる。
「ええ…先ほど眠りました」
父様の目が優しく美弥を見るめ、頭を撫でしばらくそのままでいた。
「…麻耶は…どうしていますか?」
葉月は家に連れ戻されている麻耶の様子を聞いた。
「落ちついてるよ…美弥のいない生活もやっと慣れたみたいだな…蘭子の面倒もきちんと見るようになったしな」
「そうですか…」
あの日以来、葉月は麻耶とは会ってはいない。
一度は麻耶もこの寺に一緒に来たが、次の日には父様と母様に連れられて家に戻ることになった。
麻耶には自分が犯した罪を認め考える時間が必要だった。
叱るのではなく、話を聞くことだと和尚は言った。
美弥と同様、また麻耶の心も知る必要があるのだと。
叱ることはいつでもできる。
しかし、そこまでに辿り着く心の流れを把握せよと和尚は父様と母様に告げた。
数日間は、その話は一切しなかった。
ただ心穏やかに暮らすことだけを心掛けた。
しかし、近くにいない美弥を思い泣き続ける麻耶をどうすることもできずにいた。
そんな時は、母様が麻耶を抱きしめ心を満たせば、麻耶は落ちつく。
母様が傍にいれば、麻耶は落ち着いているようになった。
父様が仕事帰りに美弥の様子を見にやってくる。
「ええ…先ほど眠りました」
父様の目が優しく美弥を見るめ、頭を撫でしばらくそのままでいた。
「…麻耶は…どうしていますか?」
葉月は家に連れ戻されている麻耶の様子を聞いた。
「落ちついてるよ…美弥のいない生活もやっと慣れたみたいだな…蘭子の面倒もきちんと見るようになったしな」
「そうですか…」
あの日以来、葉月は麻耶とは会ってはいない。
一度は麻耶もこの寺に一緒に来たが、次の日には父様と母様に連れられて家に戻ることになった。
麻耶には自分が犯した罪を認め考える時間が必要だった。
叱るのではなく、話を聞くことだと和尚は言った。
美弥と同様、また麻耶の心も知る必要があるのだと。
叱ることはいつでもできる。
しかし、そこまでに辿り着く心の流れを把握せよと和尚は父様と母様に告げた。
数日間は、その話は一切しなかった。
ただ心穏やかに暮らすことだけを心掛けた。
しかし、近くにいない美弥を思い泣き続ける麻耶をどうすることもできずにいた。
そんな時は、母様が麻耶を抱きしめ心を満たせば、麻耶は落ちつく。
母様が傍にいれば、麻耶は落ち着いているようになった。