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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
和尚の強い物言いに葉月はたじろき、渋々美弥の前からどいた。
和尚は麻耶の背中を押して美弥のところに行かせ、葉月の手を引いて少し離れたところに連れ出した。
麻耶は美弥の目の前に行き、今度は手で触れた。
いつもの温かさが伝わる。
生まれてずっと感じていた心安らぐ温かさ。
この温もりを消してしまおうとしていたのだと思うと恐怖さえ感じた。
麻耶は両手を美弥の首に巻きつけ抱きつくが、麻耶の身体に美弥の手が添えられることはなかった。
「ごめんなさい…姉様…本当にごめんなさい。…生きていてくれてありがとう…姉様…姉様…」
姉様と何度も呼び声を出して泣き出した。
申し訳なさと、生きていてくれた喜びと色々な感情が交ざり嗚咽をもらしながら泣いた。
それを遠くから和尚と葉月はただ見ることしかできなかった。
「ここ数日…麻耶は毎日来ていたよ…ただ美弥を見つめて帰って行った…お前の気持ちも分からないわけではない。美弥を守りたいと思う気持ちも立派だ。しかし…麻耶が全て悪いわけでもない…それが分かっているから誰も麻耶を罰っすることができないでいる…」
やきもきしている葉月に和尚は告げた。
その言葉で葉月は思い知る。
麻耶が美弥にした仕打ちばかりに目が行き、その発端を作ってしまった自分の罪を忘れていた。
自分が美弥と麻耶を間違わなければ悲劇は起こらなかったのだと思い出す。
「見てみなさい」
下を向いていた葉月に和尚が静かに告げた。
その言葉に顔を上げて和尚の目線を追う。
和尚は麻耶の背中を押して美弥のところに行かせ、葉月の手を引いて少し離れたところに連れ出した。
麻耶は美弥の目の前に行き、今度は手で触れた。
いつもの温かさが伝わる。
生まれてずっと感じていた心安らぐ温かさ。
この温もりを消してしまおうとしていたのだと思うと恐怖さえ感じた。
麻耶は両手を美弥の首に巻きつけ抱きつくが、麻耶の身体に美弥の手が添えられることはなかった。
「ごめんなさい…姉様…本当にごめんなさい。…生きていてくれてありがとう…姉様…姉様…」
姉様と何度も呼び声を出して泣き出した。
申し訳なさと、生きていてくれた喜びと色々な感情が交ざり嗚咽をもらしながら泣いた。
それを遠くから和尚と葉月はただ見ることしかできなかった。
「ここ数日…麻耶は毎日来ていたよ…ただ美弥を見つめて帰って行った…お前の気持ちも分からないわけではない。美弥を守りたいと思う気持ちも立派だ。しかし…麻耶が全て悪いわけでもない…それが分かっているから誰も麻耶を罰っすることができないでいる…」
やきもきしている葉月に和尚は告げた。
その言葉で葉月は思い知る。
麻耶が美弥にした仕打ちばかりに目が行き、その発端を作ってしまった自分の罪を忘れていた。
自分が美弥と麻耶を間違わなければ悲劇は起こらなかったのだと思い出す。
「見てみなさい」
下を向いていた葉月に和尚が静かに告げた。
その言葉に顔を上げて和尚の目線を追う。