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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
そこには麻耶の背中に手を添えている美弥の姿があった。
誰の手も取ることのなかった美弥の手が麻耶の背中を撫でていた。
自我を取り戻したのかと駆け寄った。
「美弥!!」
自分の方を見て笑ってくれると思い美弥の名前を呼ぶ。
しかし、何の変化もない。
ただ麻耶の背中を撫でながら、その目は相変わらず何も見てはいなかった。
「無意識の行動…無意識だからこそ受け入れた…自我が戻ったらこうも簡単にいくまいが…今は、麻耶の存在が美弥の心の内に響いた…ということだろう。麻耶が美弥に執着するのと同じ様に、美弥の心も麻耶に執着し繋がってるのかもしれんな」
「じゃあ…俺は…」
傍で見続ける自分が美弥の心に響かないのかと落胆する。
こんなにも愛しているのにと。
「お前の想いが通じていないわけでもあるまい。必ずここに戻ってくるのだ。それはお前がいるからではないのか?」
葉月の心を察した和尚が告げた。
「和尚様…姉様は…もとに戻る?麻耶って呼んでくれる?」
抱き付いたままの麻耶が静かに振り返り、和尚に聞く。
和尚は麻耶と葉月の頭に手を乗せ撫でながら告げた。
「美弥の心はちゃんと存在しておる。その証拠に必ず葉月の元に帰り、麻耶の存在に反応する…それが第一歩だ。焦らず行こうではないか。美弥が自ら心を開放するその時まで…なっ」
誰の手も取ることのなかった美弥の手が麻耶の背中を撫でていた。
自我を取り戻したのかと駆け寄った。
「美弥!!」
自分の方を見て笑ってくれると思い美弥の名前を呼ぶ。
しかし、何の変化もない。
ただ麻耶の背中を撫でながら、その目は相変わらず何も見てはいなかった。
「無意識の行動…無意識だからこそ受け入れた…自我が戻ったらこうも簡単にいくまいが…今は、麻耶の存在が美弥の心の内に響いた…ということだろう。麻耶が美弥に執着するのと同じ様に、美弥の心も麻耶に執着し繋がってるのかもしれんな」
「じゃあ…俺は…」
傍で見続ける自分が美弥の心に響かないのかと落胆する。
こんなにも愛しているのにと。
「お前の想いが通じていないわけでもあるまい。必ずここに戻ってくるのだ。それはお前がいるからではないのか?」
葉月の心を察した和尚が告げた。
「和尚様…姉様は…もとに戻る?麻耶って呼んでくれる?」
抱き付いたままの麻耶が静かに振り返り、和尚に聞く。
和尚は麻耶と葉月の頭に手を乗せ撫でながら告げた。
「美弥の心はちゃんと存在しておる。その証拠に必ず葉月の元に帰り、麻耶の存在に反応する…それが第一歩だ。焦らず行こうではないか。美弥が自ら心を開放するその時まで…なっ」