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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々





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「先生!いつも、あのお家にいるとてもきれいなお姉さんは何してるの?」

いつものように授業をしていると女の子が手を挙げて美弥の事を聞く。
美弥が喋らなくなって1年。
外に一歩もでなかった美弥は、体調が良ければ縁側に出て一日をすごすようになっていた。
その美弥の姿が子供たちの目に触れる。

「うん…ちょっとね。心の病気なんだ。だから、そっとしてあげてね」

「は~い」

数名が手を挙げて返事をした。
子供たちは、すぐ美弥の存在を忘れて勉強を始める。
家の仕事の合間に勉強に来る子たちは学ぶのが好きな子ばかりで教えれば教えるだけ吸収する。
読み書きだけではなく色々な事を学び成長する。
その様を見て葉月は蘭子の事を思い出すことがあった。
数日間会わないだけで子供は成長する。
その大切な時に一緒に居てあげられないことが葉月は心苦しかった。
何があっても血を分けた本当の子供。
会いたくないはずがない。
しかし、美弥を置いて会いに行くことなどできなかった。
その寂しさを埋めるかのように寺に来る子供たちに接した。

「じゃあ、今日はここまで。」

授業が終わる合図をすると子供たちは帰りの支度をしてそれぞれ帰って行く。
畑仕事を手伝うもの、家業を手伝うもの。
遊ぶものは一人もいない。
全員が返ったのを確認してから葉月も美弥の元に戻る。
今日もまた縁側でのどかな風景を眺めていた。
それがどのように映っているのかは分からない。
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