この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
「ただいま」
声をかけて美弥の隣に座り、手を握る。
返事もなければ、手を握り返してくることもなかった。
この一年変わることのない美弥との言葉なき会話。
「今日も無事に終わったよ…そういえばさ。キミって女の子がいるんだけどね。美弥の事『きれいなお姉さん』って言ってたよ。愛する人が『きれい』って言われるとうれしいよね。」
届かなくとも話しかける。
「子供たちって色々見てるんだね。ここで外を見てる美弥を知ってるのにはびっくりしちゃった。子供たちの声ってここまで聞こえてくる?騒がしいから聞こえてくるよね。うるさかったりする?」
返事がないと分かっていても質問する。
届かない想いと共に口にした。
「子供たちの声と共に、俺の言葉も聞こえているといいな…」
美弥の顔を見ず、遠くを見ながらこれからの事を考える。
いつかは自我を取り戻し、笑いかけてくれると信じてはいた。
しかし、もし一生このままだったらと思うと、やるせない気持ちが溢れ出る。
笑いかけて欲しい。
美弥の声が聴きたい。
声になりそうな言葉を何度も飲み込んだ。
届かなくても、それを口にはできなかった。
声をかけて美弥の隣に座り、手を握る。
返事もなければ、手を握り返してくることもなかった。
この一年変わることのない美弥との言葉なき会話。
「今日も無事に終わったよ…そういえばさ。キミって女の子がいるんだけどね。美弥の事『きれいなお姉さん』って言ってたよ。愛する人が『きれい』って言われるとうれしいよね。」
届かなくとも話しかける。
「子供たちって色々見てるんだね。ここで外を見てる美弥を知ってるのにはびっくりしちゃった。子供たちの声ってここまで聞こえてくる?騒がしいから聞こえてくるよね。うるさかったりする?」
返事がないと分かっていても質問する。
届かない想いと共に口にした。
「子供たちの声と共に、俺の言葉も聞こえているといいな…」
美弥の顔を見ず、遠くを見ながらこれからの事を考える。
いつかは自我を取り戻し、笑いかけてくれると信じてはいた。
しかし、もし一生このままだったらと思うと、やるせない気持ちが溢れ出る。
笑いかけて欲しい。
美弥の声が聴きたい。
声になりそうな言葉を何度も飲み込んだ。
届かなくても、それを口にはできなかった。