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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
音のなかった空間に音が広がる。
色がなかった空間に色が染まる。
今まで静かだった美弥の周りが華やぎ生きている空間を生み出した。
美弥の手が動き、饅頭を一口、口にした。
そして…キミを見て笑った…
「お姉ちゃんが笑った…」
キミが声をあげると、子供たちの目は美弥を見る。
そこには、控えめに笑う美弥がいた。
まだ完全とは言えないが、確実に笑っていた。
「お姉ちゃんの笑ってる顔かわいい」
子供たちははしゃいだ。
子供たちが笑えば美弥も笑い、一度も感情を表すことがなかった美弥が感情を表に出す。
葉月はゆっくりと美弥に近づいた。
瞬きをしたら、それが消えてしまいそうで目を逸らすことができなかった。
美弥の前に立つと、美弥の目が葉月を捉える。
色のなかった目に光が宿っていた。
葉月は美弥の手を取り、美弥の前に片膝をついて座り見上げると、笑っている美弥がちゃんといた。
その顔が次第に涙でぼやけ滲む。
握っている手を額に押し当てて、葉月は声を殺して泣いた。
そんな葉月を見て子供たちは静かに席を立ち、遠くから眺めている和尚の元にいく。
和尚は何も言わずに、子供たちを連れて学びの場所に戻った。
泣き続ける葉月に美弥は繋がれた手を解き、葉月の頭に手を乗せて優しく撫でる。
葉月は顔を上げて美弥の頬に手を伸ばし触れれば、その手に美弥の手が重なった。
「おかえり…」
葉月は、それだけを告げた。
美弥は返事をすることなく静かに頷いた。
色がなかった空間に色が染まる。
今まで静かだった美弥の周りが華やぎ生きている空間を生み出した。
美弥の手が動き、饅頭を一口、口にした。
そして…キミを見て笑った…
「お姉ちゃんが笑った…」
キミが声をあげると、子供たちの目は美弥を見る。
そこには、控えめに笑う美弥がいた。
まだ完全とは言えないが、確実に笑っていた。
「お姉ちゃんの笑ってる顔かわいい」
子供たちははしゃいだ。
子供たちが笑えば美弥も笑い、一度も感情を表すことがなかった美弥が感情を表に出す。
葉月はゆっくりと美弥に近づいた。
瞬きをしたら、それが消えてしまいそうで目を逸らすことができなかった。
美弥の前に立つと、美弥の目が葉月を捉える。
色のなかった目に光が宿っていた。
葉月は美弥の手を取り、美弥の前に片膝をついて座り見上げると、笑っている美弥がちゃんといた。
その顔が次第に涙でぼやけ滲む。
握っている手を額に押し当てて、葉月は声を殺して泣いた。
そんな葉月を見て子供たちは静かに席を立ち、遠くから眺めている和尚の元にいく。
和尚は何も言わずに、子供たちを連れて学びの場所に戻った。
泣き続ける葉月に美弥は繋がれた手を解き、葉月の頭に手を乗せて優しく撫でる。
葉月は顔を上げて美弥の頬に手を伸ばし触れれば、その手に美弥の手が重なった。
「おかえり…」
葉月は、それだけを告げた。
美弥は返事をすることなく静かに頷いた。