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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
─…
──…
───…
「美弥が笑ったって本当か?」
いつものように仕事帰りに寄った父様は、和尚に聞いたのか慌てて部屋に来るが、美弥はもう布団の中で眠っていた。
「眠った…のか」
眠っっている美弥を見てがっかりする。
「一度は笑いました…今度は、俺の言葉に反応もしました。…けど、やはり完全に戻ったわけではないみたいです。」
葉月の険しい表情に父様は気が付く。
「どういうことだ?」
「今回は長いこと子供たちに微笑んでいました。けど時が過ぎれば元に戻ったんです。少しずつだけどいい方向に向かってるんじゃないって和尚様は言ってました。もしかしたら子供たちの笑い声の中にいることが近道かもとも」
「そっか…見たかったな。美弥の笑い顔。」
静かに眠る美弥の頭を優しく撫でながら寂しくつぶやく。
「けど…笑えることが分かったんだ…。一歩前進だな?」
「そうですね…」
笑っている美弥を抱きしめた後に顔を覗き込んだ時には、いつもの美弥に戻っていた。
何度声を掛けても笑顔を向けてくれることはなかった。
──…
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「美弥が笑ったって本当か?」
いつものように仕事帰りに寄った父様は、和尚に聞いたのか慌てて部屋に来るが、美弥はもう布団の中で眠っていた。
「眠った…のか」
眠っっている美弥を見てがっかりする。
「一度は笑いました…今度は、俺の言葉に反応もしました。…けど、やはり完全に戻ったわけではないみたいです。」
葉月の険しい表情に父様は気が付く。
「どういうことだ?」
「今回は長いこと子供たちに微笑んでいました。けど時が過ぎれば元に戻ったんです。少しずつだけどいい方向に向かってるんじゃないって和尚様は言ってました。もしかしたら子供たちの笑い声の中にいることが近道かもとも」
「そっか…見たかったな。美弥の笑い顔。」
静かに眠る美弥の頭を優しく撫でながら寂しくつぶやく。
「けど…笑えることが分かったんだ…。一歩前進だな?」
「そうですね…」
笑っている美弥を抱きしめた後に顔を覗き込んだ時には、いつもの美弥に戻っていた。
何度声を掛けても笑顔を向けてくれることはなかった。