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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
「大丈夫。姉様が食べ終わってから食べるから」
 
和尚ににっこり笑って、美弥の世話をする。
その姿が愛らしく、そして不憫だと和尚は大きな溜息をつく。
 
「麻耶…無理せずとも良い。少しずつ変わりなさい。急激な変化は波紋を呼ぶ。心を壊しては意味がない。分かるな」
 
和尚の言葉を聞いて、麻耶は悲しそうな目で和尚を見つめた。
 
「麻耶の想いは立派だと思うが…無理はしないことだ。急いでも良いことはない。お前たちの人生はまだ長い。気長にやりなさい。」
 
麻耶は静かに首を横に振った。
 
「立派じゃないの…。褒められることもしてない。…和尚様…麻耶はどうしていいのか分からないの。罪を償うっていうことがどういうことか分からない…。何をしていいのか分からない。…ただ、姉様の傍にいたいだけ」
 
麻耶の表情が曇り諦めているような表情になる。
 
「今は…麻耶の事覚えてなくて、傍にいさせてくれるけど…もし、麻耶だと分かった時…怯えさせて怖がらせるだけなら二度と姉様には合わない覚悟だけはしてるの…だから…今だけでも傍にいたい。…それはダメなのかな?」
 
和尚は黙って麻耶の言葉に耳を傾ける。
 
「南和も…どこにいったか分からない。もっと麻耶がしっかりしてたら南和も傷つけずにすんだ。姉様も、葉月も…そして南和も麻耶が傷つけた。誰もが南和が悪いって言うけど南和は悪くない…麻耶が全て悪いの」
 
麻耶は真っ直ぐに和尚様を見つめた。
その目には涙が溢れている。
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