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狂い咲く花
第46章 四、朝顔 – 硬い絆
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ザワザワと落ち着きのない外の様子に葉月は目を覚ました。
幸せそうな顔をして眠っている美弥を見て、夢ではないと確証する。
やっと手に入れた幸せを噛みしめていると、外のざわめきが大きくなり、それは次第に葉月たちがいる部屋へと近づいてくる。
何事かと不安になった葉月は障子を開けて外の様子を見た。
「葉月!!美弥は…美弥は」
障子を開けた葉月を見つけた父様は大きな声をあげながら近づいてきた。
その傍には母様と麻耶と蘭子の姿も見えた。
美弥が目覚めて一週間。
そろそ父様たちに伝えようと昨晩決めたばかりだった。
葉月は慌てて部屋から出ると父様を止めた。
「美弥はまだ寝てるから…静かにしてください」
「そんなこと言ったってな。心を取り戻したって聞いたらしょうがないだろう」
静かにしてくれと頼んでも、元から大きな声の父様の声が小声に変わることはない。
興奮しながら、葉月と母様の制止を振り切り美弥が寝ている部屋に向かい、締められた障子の前に来ると一度大きく深呼吸をする。
夢ではなく現実であってくれと願い、意を決して障子を開けた。
今しがた目覚めたかのようにボンヤリと身体を起こしている美弥の姿がそこにはあった。
その目が父様を捉えると、にっこりと微笑む。
「父様…」