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狂い咲く花
第46章 四、朝顔 – 硬い絆





───…





「待てって…」

握りしめられた葉月の手から逃げようともがくが、力強く腕を引き自分の方に向かせた。

「麻耶…」

なるべく優しい声音で麻耶の名前を呼ぶ。
その言葉にビクッと身体を震わせ顔を上げた。
視線がぶつかり、麻耶の空いた片手が葉月の腕に絡み、いつものように葉月の胸に顔を埋めようとした。
しかし、直前で麻耶は思いとどまった。

「…ごめんなさい…」

それだけを口にして、葉月の腕を離して距離を取る。

「もう…その胸は私の物じゃなかった…。もう…麻耶の物なんて何もない…」

「麻耶?」

「また…姉様を傷つけちゃった…。こんなに好きなのに…傷つけてばかり…」

「そんなこと…ないよ」

麻耶は静かに首を横に振る。

「姉様に…あんな表情させちゃったもん…麻耶の顔見て怯えてた…しょうがないよね。それだけのことを姉様にしたんだから…姉様は皆に愛されて当然なの…麻耶と違って良い子だから。けど麻耶は…悪い子はいらない子だもん」

唇を噛みしめて泣くのを耐えている麻耶を見て、葉月は麻耶を抱きしめる。
腕の中で暴れ、離れようとするが葉月はそれを許さなかった。

「駄目だよ…葉月が麻耶を抱きしめちゃ駄目なんだよ…この腕に抱いて良いのは姉様だけなんだよ」
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