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狂い咲く花
第46章 四、朝顔 – 硬い絆
───…
葉月と麻耶が戻ると、父様に抱かれて眠る美弥と母様に抱かれて眠る蘭子の姿が目にはいり、麻耶はどこかホッとした。
また怖がらせるかもしれないと不安で気が気ではなかった。
戻ってきた葉月と麻耶を見て母様が小さな声で葉月に言った。
「葉月ちゃん。蘭子をいいかしら?」
葉月は母様に近づいて眠っている蘭子を抱きあげる。
手が空いた母様は麻耶に向かって昔みたいに両手を広げた。
「麻耶。おいで」
その言葉に勝手に足が進むが、あと少しの所で足を止め静かに首を横に振った。
その手を取る資格などないと麻耶は思っていた。
その心を感じ取ったのか、母様は優しく告げた。
「麻耶を…抱きしめさせてちょうだい。お願い」
抱きしめたいとお願いする。
先ほど葉月の胸の中で泣いたばかりなのに、また涙が溢れ出す。
けれど、一歩がでてこない。
そんな麻耶を見て葉月が麻耶の背中を押した。
振りむけば、優しい笑顔の葉月が頷き、甘えていいのだと告げた。
麻耶はゆっくりと足を進め母様の手を取る。
取れば、その手に涙がポタリと落ちる。