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狂い咲く花
第47章 四、アリウム – 深い悲しみ
「美弥ちゃん、お久しぶり」

フミをあやしている美弥に声を掛けたのは葉月の母親だった。

「おばさま…それにおじさままで…。」

そのふたりに手を引かれている蘭子も一緒だった。
三人の後ろを覗いても麻耶の姿はどこにもなかった。

「麻耶ちゃんは一緒じゃないのよ。美弥ちゃんの所に行くって言ったら蘭子も一緒に連れて行って欲しいって言われてね…」

美弥の目線で気がついたのか、蘭子を連れてくることになった経緯を簡単に説明した。

「そうなんですね。ご迷惑かけてごめんなさい…」

「迷惑なんてとんでもない。私たちも蘭子と長い時間一緒にいられてうれしいのよ。」

ふたりが話している間に蘭子は美弥の元に駆け寄り、抱っこしてと両手を美弥に向かって伸ばしていた。

「ごめんね…今はフミちゃんを抱いているから抱っこできないの…お姉ちゃんだから我慢してね」

そう伝えても蘭子は聞き分けてくれず、手を引っ込めることはせずに、ずっと抱っこしてとねだり続けた。

「蘭子は美弥ちゃんが大好きなのね。よかったら、その子は私が抱いてますよ」

そういって、フミを葉月の母親が抱きかかえて、美弥は蘭子の手を取り抱き上げた。

「蘭子、また重くなったわね。それに見ないうちにお姉さんぽくなって」

フミと違ってずっしりとする重さに蘭子の成長を感じうれしく思った。
蘭子との空白を埋めるかのように本当の子供以上に可愛がる。
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