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狂い咲く花
第47章 四、アリウム – 深い悲しみ
「申し訳ありません。春日に家督を譲って、違う方面で逆に忙しくなりましてね。それに私にもやっと孫ができまして、毎日が忙しくて忙しくて」
「その孫にはいつ会わせるつもりだ?」
「そのうち…?」
などと、ふたりだけで話をしながら本堂の方に歩いて行った。
残された美弥と葉月の母親は顔を見合わせ笑いあい、ふたりの後を追い本堂に足を向けた。
「元気そうでよかったわ」
歩きながら葉月の母親は美弥に話し始めた。
「本当はもっと早くに美弥ちゃんに会いに来ようと思ったのよ。落ち着いてからって思ってたら遅くなってしまったの。…葉月と仲良くやってる?」
「はい。いつも一緒にいてくれて…感謝しています」
「そう。なら良かった。」
静かに笑った顔が、少し寂しそうに美弥には思えた。
以前、蘭子と豊田家を訪れた時よりは明るくなった葉月の母親の違う寂しげな表情に、美弥は心を揺さぶられる。
大事な息子を穢れてしまった自分と一緒にいて良い思いをしないのではないかと嫌な方面にばかり考えが浮かぶ。
「最近…麻耶ちゃんに会ってる?」
美弥の想いとは違う事を聞かされ、美弥は首を横に振った。
「…そうよね…会えないわよね…」
溜息交じりにも聞こえた言葉が美弥の不安を煽る。
この人は何を言いに来たのだろうかと勘繰ってしまう。
そんな自分にも嫌気がさして消えてしまいそうになる。
「その孫にはいつ会わせるつもりだ?」
「そのうち…?」
などと、ふたりだけで話をしながら本堂の方に歩いて行った。
残された美弥と葉月の母親は顔を見合わせ笑いあい、ふたりの後を追い本堂に足を向けた。
「元気そうでよかったわ」
歩きながら葉月の母親は美弥に話し始めた。
「本当はもっと早くに美弥ちゃんに会いに来ようと思ったのよ。落ち着いてからって思ってたら遅くなってしまったの。…葉月と仲良くやってる?」
「はい。いつも一緒にいてくれて…感謝しています」
「そう。なら良かった。」
静かに笑った顔が、少し寂しそうに美弥には思えた。
以前、蘭子と豊田家を訪れた時よりは明るくなった葉月の母親の違う寂しげな表情に、美弥は心を揺さぶられる。
大事な息子を穢れてしまった自分と一緒にいて良い思いをしないのではないかと嫌な方面にばかり考えが浮かぶ。
「最近…麻耶ちゃんに会ってる?」
美弥の想いとは違う事を聞かされ、美弥は首を横に振った。
「…そうよね…会えないわよね…」
溜息交じりにも聞こえた言葉が美弥の不安を煽る。
この人は何を言いに来たのだろうかと勘繰ってしまう。
そんな自分にも嫌気がさして消えてしまいそうになる。