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狂い咲く花
第47章 四、アリウム – 深い悲しみ
「母様ね…最近元気ないんだよ…あまり蘭子ともお話してくれない。」
麻耶の名前が出て、蘭子が会話に入ってくる。
「美弥姉様は母様と喧嘩でもしたの?」
何も知らない蘭子は素直に聞いた。
その言葉に美弥は何も言うことができなかった。
「母様ね。夜になるといつも泣いてるの…ごめんねって、いっつも言ってる…」
蘭子の言葉に美弥は心が締め付けられる思いがし、知らないところで麻耶が泣いていることを初めて知った。
麻耶が苦しんでいることも忘れて自分だけ心豊かに過ごしていたことに気がつき、一人泣いている麻耶に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あっ、鉄斎さんだ…蘭子、鉄斎さんとこ行く!」
和尚と話している鉄斎を見つけて、蘭子は美弥の腕の中から降りて走って行った。
鉄斎は走り寄ってきた蘭子を抱き上げて美弥たちの方に一礼をして本堂の中に消えていった。
「蘭子は鉄斎さんに懐いてるんです…将来結婚するんだって言ってます」
「あらっ…葉月は知ってるの?」
「はい…渋い顔してますけど」
男親の気持ちを考えながらふたりは目を合わせて笑った。
そして葉月の母親は先ほどの話を続けた。
「…さっき会った麻耶ちゃんは、以前と違っていたのよ。あんな風に笑う子じゃなかった…」
葉月の母親は、静かに穏やかに笑っていた麻耶の表情を思いだしながら告げた。
「花が咲いたように声を出して笑う子だったのに、今にも泣きそうな笑い顔だったのよ…」
麻耶の名前が出て、蘭子が会話に入ってくる。
「美弥姉様は母様と喧嘩でもしたの?」
何も知らない蘭子は素直に聞いた。
その言葉に美弥は何も言うことができなかった。
「母様ね。夜になるといつも泣いてるの…ごめんねって、いっつも言ってる…」
蘭子の言葉に美弥は心が締め付けられる思いがし、知らないところで麻耶が泣いていることを初めて知った。
麻耶が苦しんでいることも忘れて自分だけ心豊かに過ごしていたことに気がつき、一人泣いている麻耶に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あっ、鉄斎さんだ…蘭子、鉄斎さんとこ行く!」
和尚と話している鉄斎を見つけて、蘭子は美弥の腕の中から降りて走って行った。
鉄斎は走り寄ってきた蘭子を抱き上げて美弥たちの方に一礼をして本堂の中に消えていった。
「蘭子は鉄斎さんに懐いてるんです…将来結婚するんだって言ってます」
「あらっ…葉月は知ってるの?」
「はい…渋い顔してますけど」
男親の気持ちを考えながらふたりは目を合わせて笑った。
そして葉月の母親は先ほどの話を続けた。
「…さっき会った麻耶ちゃんは、以前と違っていたのよ。あんな風に笑う子じゃなかった…」
葉月の母親は、静かに穏やかに笑っていた麻耶の表情を思いだしながら告げた。
「花が咲いたように声を出して笑う子だったのに、今にも泣きそうな笑い顔だったのよ…」