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狂い咲く花
第48章 四、金盞花 – 絶望
「麻耶はまだ迎えに来ないの?」

いつもなら、とっくに迎えに来ている時間なのに未だに姿を見せなかった。

「そうなの…。やっぱり…迎えに来にくいのかしら?」

「何かあったのか?」

美弥は麻耶が蘭子のことを叩いたことを話した。
葉月も麻耶の行動に驚きながらも、まだ赤みが引かない蘭子の頬を見て信じるしかなかった。

「何もしてないのに叩かれたのか?」

叩かれた場所を優しくさすりながら聞くと、蘭子は静かに頷き下をむく。

「そう…母様が迎えにきたら話をするから、蘭子は心配しないでいいよ」

麻耶の話になり元気がなくなった蘭子を見て、叩かれたことで元気がないのだとふたりは思っていた。

「父様…ここにずっといちゃ駄目?おうちに…帰りたくない」

弱々しく伝えた蘭子の言葉を葉月は静かに聞いていた。

「母様は蘭子が嫌いなの…いない方が母様はうれいしの」

「そんなことないわよ。母様は蘭子のこと大好きよ。」

美弥は自分の小さい頃と同じだと思い、そうではないと告げたかった。
本当は愛されているのに、些細なことでその愛情を感じられなくなってほしくないと思っていた。
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