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狂い咲く花
第48章 四、金盞花 – 絶望
『…ずぶ濡れになって…どうしたんだ?』

3人で楽しく過ごしていると、外から和尚の話し声か聞こえ、誰と話しているのだろうとふたりは顔を見合わせ外の様子を伺う。

『…んっ?どうした?』

『探して…』

『探して?』

声で和尚が話しているのが麻耶だと気がつき、やっと迎えに来たのだと思った葉月は話をしようと腰を上げた。

『蘭子がいなくなって…』

『いなくなった??』

『…姉様と一緒に…部屋の中にいるみたいだから…』

和尚と麻耶の会話を聞いた美弥は抱きしめている蘭子に聞いた。

「黙って出てきたの?」

その問いに蘭子は答えない。
ただ黙ってうつむいたままで何も話そうとはしなかった。

『蘭子が、ここにいるのが分かればそれでいいです…帰ります』

『待ちなさい…とりあえず中に入りなさい。そんなにずぶ濡れになって…それに足の裏も怪我して…どれだけ探しまわったんだ?』

美弥はふたりの話を聞きながら、葉月と共に廊下に出た。
そこには、この雨で全身びっしょりと濡れ、何度も転んだ跡のような泥まみれの麻耶が立っていた。
美弥に気がつい麻耶はおびえた顔で凝視する。
一歩、二歩と後ずさりをすると和尚にぶつかり、それ以上後ろに行くことができなかった。
逃げ出すこともできない麻耶はただ同じ言葉を繰り返す。

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

何かに取り憑かれたかのように同じ言葉を繰り返す。
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