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狂い咲く花
第48章 四、金盞花 – 絶望
誰に対して何に対してなのか、誰一人として分からなかった。
分かることといえば、麻耶の精神が尋常じゃないということだけだった。
その証拠に何度となく謝罪の言葉を口にする。
その目には誰の姿も映っていない。
ただ空(くう)を見つめながら何度も何度も「ごめんなさい」を繰り返す。
麻耶のことが心配になった葉月と美弥は雨に濡れるのも気にせず麻耶の傍に寄っていく。
「「麻耶?」」
葉月と美弥がが優しく声を掛けると、切羽詰まったように小さな声で「ごめんなさい」を繰り返す。
何時もと違う麻耶に蘭子は戸惑い美弥の後ろから顔を出して母様と呼んだ。
「母様…」
その声は麻耶に届き、蘭子を見つめた。
美弥の後ろに隠れている蘭子を見て寂しさが込み上げる。
「蘭子…姉様と葉月と一緒にいるほうが…幸せなのかもしれないね…。私といるよりずっと…」
儚げに笑い美弥と葉月に深々と頭を下げた。
「蘭子の事…よろしくお願い…します」
「麻耶?」
何を言っているのか美弥にも葉月にも分からなかった。
「私と一緒じゃ蘭子は幸せじゃないの…姉様と葉月と一緒の方がきっと幸せになれるの…だからお願いします。蘭子をふたりの子供にしてあげてください。」
それだけを告げると、踵を返し立ち去ろうとする麻耶の腕を取り、美弥は足を止めさせた。
「もしかして…さっきの話聞いてたの?」
その言葉に麻耶は答えなかった。
それが答えなのだと美弥は思った。
分かることといえば、麻耶の精神が尋常じゃないということだけだった。
その証拠に何度となく謝罪の言葉を口にする。
その目には誰の姿も映っていない。
ただ空(くう)を見つめながら何度も何度も「ごめんなさい」を繰り返す。
麻耶のことが心配になった葉月と美弥は雨に濡れるのも気にせず麻耶の傍に寄っていく。
「「麻耶?」」
葉月と美弥がが優しく声を掛けると、切羽詰まったように小さな声で「ごめんなさい」を繰り返す。
何時もと違う麻耶に蘭子は戸惑い美弥の後ろから顔を出して母様と呼んだ。
「母様…」
その声は麻耶に届き、蘭子を見つめた。
美弥の後ろに隠れている蘭子を見て寂しさが込み上げる。
「蘭子…姉様と葉月と一緒にいるほうが…幸せなのかもしれないね…。私といるよりずっと…」
儚げに笑い美弥と葉月に深々と頭を下げた。
「蘭子の事…よろしくお願い…します」
「麻耶?」
何を言っているのか美弥にも葉月にも分からなかった。
「私と一緒じゃ蘭子は幸せじゃないの…姉様と葉月と一緒の方がきっと幸せになれるの…だからお願いします。蘭子をふたりの子供にしてあげてください。」
それだけを告げると、踵を返し立ち去ろうとする麻耶の腕を取り、美弥は足を止めさせた。
「もしかして…さっきの話聞いてたの?」
その言葉に麻耶は答えなかった。
それが答えなのだと美弥は思った。