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狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
「馬鹿をいいなさい…心配しなくても目を覚ますはずだから、傍にいてあげなさい」

麻耶の事は気になりはするが、近づくのを躊躇する。
そんな蘭子を見て美弥が声を掛けた。

「蘭子、いらっしゃい。私と一緒にいましょう?」

優しく声を掛けると、静かに頷いて美弥の膝の上に座り、麻耶が目覚めるのを待った。
しかし、麻耶は中々目覚めなかった。
麻耶の体温も上がり布団に横たわらせたとき、父様と母様が慌ただしく本堂に到着した。
急いできたのか、ずぶぬれで息を切らしていた。

「麻耶が倒れたって…麻耶!!」

眠っている麻耶に目がいき駆け寄った。

「麻耶?…おい…」

枕元で何度名前を呼んでも目を覚まさない麻耶を見て父様は動揺する。

「何があったんだ…帰ったら街の人たちから蘭子がいなくなって麻耶が探し回ってるって聞いた…妙仁が迎えに来てくれたが要件を得ない…」

「父様…昼過ぎに蘭子が1人できたの。麻耶にぶたれたんだと言って…麻耶はここに来たこと知ってると言ってたから私、安心して…」

「蘭子がいないって、必死になって探してたって言ってたぞ。だから近所の人たちも一緒に探して…蘭子どういうことだ?」

美弥の膝の上で硬く縮こまっている蘭子に父様が聞くが、蘭子は口を開かなかった。

「蘭子!!お前は黙って家を出たのか?」

少し強く言うと、蘭子は美弥に抱き付いて泣きだした。
部屋には蘭子の泣き声だけが木霊する。
泣き出した蘭子に何も聞けずに途方に暮れ、時だけが過ぎていった。
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